はじめに
今回は平均の点推定について見ていきましょう。
知りたいのは母集団の平均である母平均ですので、
厳密には母平均の点推定ということになります。
前回の記事で学んだ不偏性も考慮しながら考えていきます。
標本平均で母平均を点推定
いま成人男性の身長について知りたいとして
成人男性すべてという母集団から標本を抽出したとします。
標本にはある成人男性Aさん、Bさん、Cさんの3人の身長についての変数データがありました。

この標本のデータを元に母平均を点推定するのに使えそうなものといったら自然に考えてこの標本の3人の平均、つまり標本平均ですよね。
3人の身長から標本平均を求めると169cmだったとします。
さて問題はここからでこの169cmをそのまま母平均の点推定に用いて大丈夫でしょうか。
このとき留意すべきは前のレクチャーで見た不偏性でした。

不偏性というのはその値が平均的には母数と一致すると期待されるいう性質です。
いま計算した標本平均が平均的には母平均と一致すると期待される、
要は不偏性があるものだったらそのまま母平均の点推定に使うことができます。
少々もったいぶってしまいましたがこの標本平均には不偏性があることが知られています。
つまり平均的には標本平均は母平均と一致することを期待できるんですね!

したがって標本平均は母平均の点推定に使うことができ、今回の例では標本平均を用いて母平均を169cmと点推定することができます。
点推定は強引?
不偏性があるからといって点推定に使ってしまうのはやはり若干の強引さは感じるかと思います。
ですが実はこれって普段から私たちが何気なくやってることなんですよね。
おそらく日本人すべての身長のデータを見たことがある人なんていないと思います。
それでも日本人の平均身長って大体これくらいだろうという感覚値があると思います。
それはつまり、知り合いとかすれ違う人とか、日本人すべてという大きな母集団からしたらほんのわずかな人数のみの身長でもって、日本人の平均身長はこれくらいだと点推定しているとも考えられますよね。
少々話がそれましたが、まとめると標本平均には不偏性があり、その不偏性を頼りに母平均の点推定に使うことができるという話でした。
※ちなみに不偏性の他にも一致性といった母数の推定に用いるために留意すべき指標がいくつかあるのですが、まずは一番重要なこの不偏性だけ理解しておけばよいかと思います。
まとめ
最後に今回の記事のポイントを整理します。
- 標本平均には不偏性がある
- 不偏性を頼りに標本平均で母平均を点推定する
今回も最後までご覧いただきありがとうございました!

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